
借金を放置しているとどうなるのか、知らないと不安で気になりますよね。裁判を起こされたりするのか、どうしても払えない債務をずっと未払いのままでいると財産はどうなるのかなど、悩みはつきません。
そこで今回は「借金を放置しているとどうなるのか」「「裁判を起こされたりした場合の流れ」借金問題を解決するための和解の方法」などをまとめて紹介します。
借金を未払いのままでいるとどうなるのか不安な方はぜひご覧ください。
もくじ
借金を放置するとどうなる?
借金を延滞し続け、未払いのままでいると最終的には「差し押さえ」になります。
あなたの財産が強制的に差し押さえられることになりますので、債務を支払える状態であれば早めに支払いを済ませましょう。
3ヶ月以上借金を延滞していると、今すぐにでも差し押さえられる可能性があります。以下、差し押さえになるまでの流れを紹介します。
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- 延滞すると遅延損害金が発生する
- 金融機関から催促の通知がくる
- 金融機関から督促状が届く
- 金融機関から債務残額の一括請求書が届く
- 金融機関から「差し押さえ予告通知」が届く
- 裁判所から「支払督促」が届く
- 裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が届く
- 差し押さえ
1. 延滞すると遅延損害金が発生する
借金の支払日がきても未払いのままでいると、遅延損害金が発生します。
遅延損害金の上限利率は利息制限法で20%と決められているので、20%以上の請求がされている場合は違法性があります。その場合、過払金請求を考えましょう。
また、クレジットカードは滞納してから2〜3日ほどで利用不可能になります。
2. 金融機関から催促の通知がくる
借金を未払いのまま延滞し続けていると、金融機関から催促の通知がきます。
電話や郵便などを利用して催促の通知が届くので、もし支払えないのではなくて何らか他の理由で未払いのままだった場合は、この時点で支払いを済ませてしまいましょう。
3. 金融機関から督促状が届く
2週間ほどすると、金融機関から督促状が届きます。返済方法や借金の金額、返済期日が表示されています。
電話などに出れず気づかなかった場合でも、この時点で支払い可能であればすぐに支払いましょう。この時点では、金融機関などに開示される信用情報に傷がつくことはありません。
4. 金融機関から債務残額の一括請求書が届く
借金を未払いのまま2〜3ヶ月間放置し続けると、金融機関から債務残額の一括請求書が届きます。この時点まで放置していると、あなたの信用情報に傷がつきます。いわゆる、ブラックリストにあなたの名前が載ってしまった状態です。
この時点までで返済できていなくとも、返済できるのであればすぐに返済しましょう。
5. 金融機関から「差し押さえ予告通知」が届く
借金を延滞したまま3ヶ月ほど経つと、金融機関から「差し押さえ予告通知」が届きます。「差し押さえ予告通知」が届くと、いつ差し押さえられてもおかしくない状態です。
この時点でもまだ支払い可能であれば、今すぐに支払いましょう。もし、未払い分の借金を支払えない状態なのであれば、弁護士の先生に今すぐにでも相談しに行きましょう。
6. 裁判所から「支払い督促」が届く
「差し押さえ予告通知」が届いても支払わないでいると、2週間ほどして裁判所から「支払い督促」が届きます。
「支払い督促」が届くと、特別速達と呼ばれる形式で届くので、受取人は署名と押印を強制的にさせられます。つまり、受け取らないことができません。
しかし、ここまでくるといつ差し押さえられてもおかしくない状態なので、すぐに弁護士の先生に相談することをおすすめします。
7. 裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が届く
「支払い督促」が届いて2週間以内に「督促異議申し立て書」を提出しなかった場合、裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が届きます。
債権者である金融機関が、裁判所から差し押さえをすることを許可された状態であることを通知する書類です。ここまでくると、もう差し押さえられるしかありません。
8. 差し押さえ
「仮執行宣言付支払督促」が届いても放置していると、給料や財産を差し押さえられます。本人だけでなく、家族にも迷惑がかかり、社会的な信用をも失ってしまいます。
差し押さえられるまでに、どうしても支払えない場合であってもせめてどうしたら良いか方針を立てるために、専門家の弁護士の先生に相談に行くことをおすすめします。
裁判所からの呼び出し通知を無視したらどうなる?
裁判所からの呼び出し通知が届いても放置したままでいると、滞納裁判に敗訴し、強制的に差し押さえが行われてしまいます。裁判所からの呼び出し通知には2種類あります。前述した「支払い督促」と「訴状」の2つです。
支払い督促を受けた場合は?
裁判所から「支払い督促」を受けた場合「督促異議申し立て書」を提出しましょう。
前述した通り、「督促異議申し立て書」を提出しなかった場合、「仮執行宣言付支払督促」が届いていつ差し押さえられてもおかしくない状況になってしまいます。
訴状がきた場合は?
裁判所から「訴状」の形式で呼び出し通知がきた場合、しっかりと答弁書を提出しましょう。また、裁判所に呼び出された当日に、裁判所に行きましょう。
裁判所の呼び出し通知を受領して何をしたら良いかわからない場合は、弁護士の先生に相談することをおすすめします。
借金問題における裁判の流れ
借金問題における裁判の流れを紹介します。借金を未払いのまま放置していた結果、「支払い督促」、あるいは「訴状」を受け取ります。
「支払い督促」を受け取った場合は、「督促異議申し立て書」を提出すると、地方裁判所(簡易裁判所)での民事訴訟が行われます。そこからは民事訴訟における流れと同じです。
訴状を受け取らなかった場合は?
「訴状」を受け取った場合は、そのまま民事訴訟の手続きに移ります。
答弁書を提出し、裁判所に出頭しましょう。詳しい流れについてわからなかったり、不安だったりする場合は、まずは弁護士の先生に相談することをおすすめします。
何が差し押さえられるの?差し押さえ命令を取り下げる方法
裁判所の「差し押さえ命令」とは結局何を意味するのでしょうか。何が差し押さえられる対象になるのでしょう。差し押さえ命令を取り下げる方法はあるのでしょうか。本章でまとめて紹介します。
裁判所の「差し押さえ命令」とは?
裁判所の「差し押さえ命令」とは、借金をしている方の財産を没収するために裁判所が下す命令です。公式には「債権差押命令」と呼ばれます。
第三債務者とは、債務者に対してさらに債務を負う者のことですが、典型的には給料を支払っている「会社」などが該当します。
つまり、差し押さえ命令が勤めている会社に通知された時点で、あなたの財産は差し押さえられてしまう、ということです。
差し押さえの対象とはなるのは何?
実は、差し押さえ命令の効力が発生しても、全ての財産を差し押さえられるわけではありません。差し押さえられるものと、命令の効力が発揮された後でも没収の対象とならないものがあります。
差し押さえられるものの代表は、以下の3つです。それぞれについて詳しく解説します。
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- 債権
- 動産
- 不動産
債権
債権の代表的なものは、毎月会社から支払われる給与です。しかし、給与の全額が差し押さえの対象となっているわけではありません。
また、手取り金額が44万円を超える際には、33万円からの超過金額は全て差し押さえられます。
債権額を全て取り返すまで、ずっと給与から差し引かれ続けることになります。
差し押さえになったことが会社にもわかってしまうだけでなく、会社側にも各種手続きの負担を強いることになるので、こうなってしまう前に弁護士の先生に相談しておくのが無難でしょう。
債権で次に重要なのは、銀行預金です。預金口座を借金している金融機関などの債権者が知っていた場合、差し押さえの効力が発生した時点で債権者の預金口座の給料が差し押さえられます。
しかし、預金していた口座についてはそのまま利用できます。したがって、いったん引き出しておいたお金をまた預金することもできます。
年金や生活保護なども差し押さえの対象になるかどうかですが、これらは差し押さえの対象にならないのでご安心ください。
動産
動産も対象になります。主な動産には以下のものがあります。
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- 現金
- 車
- 有価証券
- 貴金属や機械
現金は66万円までは没収できません。ですから、銀行の預金口座に入っているお金と、自分の持ち合わせているお金の合計が66万円以下までの方は、まずは預金口座から資金を引き出しておくべきでしょう。
車については、差し押さえのために債権者にも費用が発生するため、対象となる可能性は高くはありません。
有価証券も対象になります。有価証券には以下のようなものがあります。
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- 株式
- 債権
- 手形
- 小切手
貴金属や機械、骨董品なども差し押さえの対象です。逆に差し押さえ対象にならない動産もあります。
したがって、もし差し押さえになった場合でも、ある程度生活できるレベルの財産は残ることになります。
不動産
土地・住宅といった不動産は差し押さえの対象です。土地は競売にかけられ、転居することを余儀なくされます。
差し押さえ命令を取り下げる方法について
残念ながら、差し押さえ命令を取り下げる方法はありません。差し押さえ命令が第三債務者に通知された時点で、効力は発生します。
だからこそ、差し押さえ命令が出されてしまう前に弁護士の先生に相談しておく必要があるのです。
裁判に「勝訴」「敗訴」するとどうなる?その後の流れを解説
残念ながら、借金を未払いのままでいた債務者側が裁判に勝利する、つまり「勝訴」になる可能性はきわめて低いです。現実的には債権者側が民事訴訟に「勝訴」し、借金をしている債務者側が「敗訴」する場合がほとんどです。
債務者側が裁判に負ける、つまり敗訴すると借金を支払うよう判決が出ます。つまり、差し押さえが決まります。差し押さえられる財産がある場合、それらの全てが差し押さえられます。
借金問題を解決する和解の方法とは?
借金問題を解決するための方法を紹介します。
1. 任意整理
任意整理という方法を使うことで借金額を減らすことができます。
任意整理は具体的には、将来の利息をカットしたり、毎月の返済額を見直すことで、3〜5年で借金の金額を返せるように整理するプロセスです。
裁判所を介さずに直接金融機関と交渉を実施できるので、一般的には借金を放置して裁判が起こされるまでに実施することが多いです。
ただし、任意整理を裁判が起こされた後に実施するとなると、条件も厳しくなりますし、実際に和解に到る可能性も低くなります。
任意整理のデメリットはない?
任意整理を実施することのデメリットとしては、借金をそのまま放置して2〜3ヶ月経ってしまう時と同じくブラックリストに載ってしまうことです。
また、携帯電話やスマホを購入する際の分割払いもできなくなります。
しかしそれでも、任意整理をして済むような借金の金額であれば、差し押さえを待たずに任意整理してしまうことをおすすめします。差し押さえで財産を失う上、社会的な信用も失います。
しかし任意整理であればブラックリストに載るだけで済むので、周囲の人に借金をしていたことがバレることもありません。任意整理の方法がよくわからない場合には、弁護士の先生に相談するのがおすすめです。
2. 裁判所での和解
裁判所での和解も可能です。民事訴訟を起こされた場合に裁判所の呼び出しに応じて出廷し、相手方と和解を結びます。
ただし、相手方と裁判所で和解を起こされる前に任意整理で和解を結ぶ方がより簡単です。
もし、裁判を起こされるところまで借金問題を放置してしまった場合には、差し押さえを覚悟していない限り、弁護士の先生に依頼して一緒に問題解決に向けて協力してもらうことをおすすめします。
借金問題の和解は弁護士相談がおすすめ!
借金をしてしまった金融機関との和解のためには、弁護士に相談するのがおすすめです。
上述したように、任意整理をするにしても、裁判所での和解を目指すにしても、どちらも専門的な法律の知識が必要になりますから、弁護士の先生に相談して解決してもらうのが一番です。
24時間相談受付している弁護士事務所もありますので、借金を放置して長期間経ってしまっている方には今すぐにでも弁護士事務所に行って相談することをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、借金と裁判の関係について解説しました。借金を未払いのまま放置していると、差し押さえ命令が出て、財産を没収されてしまいます。
裁判に持ち込まれて敗訴してしまう前に、弁護士の先生に相談して対策を取られることをおすすめします。