
厚生労働省の調査によると、悩み・ストレスを抱えている人は46.5%で、その原因として借金を挙げている人は40%~50%前後(※)もいます。
借金問題を解決する手続きに「自己破産」があります。借金を帳消しにして人生の再建を図れるため、問題解決には有効です。しかし、誰でも無条件に自己破産できるわけではありません。
そこで今回は、自己破産ができる・できない条件について解説します。また、弁護士・司法書士に相談するメリットなども紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
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自己破産とは?
自己破産とは債務整理の一種で、借金返済義務を免除する手続きです。自己破産を成立させるには、支払い能力が無ことを裁判所に認められなければなりません。
借金をゼロにできる大きなメリットがある一方、さまざまなデメリットもあります。自己破産をする場合、原則として住宅や自動車など高価な財産は手元に残せません。
そのため、自己破産後も最低限の生活用品や家具、資金を残したまま再スタートを切れます。ただし、一定期間は信用力が下がることによる社会的な弊害が生じるためことを認識しておいてください。
自己破産は金融事故に該当する
自己破産は金融事故に該当するため、ブラックリストに登録されます。登録されている数年間は、クレジットカードの発行や各種ローン審査を通過できる可能性は極めて低いでしょう。
なお、支払い能力が無い場合でも、必ず自己破産ができるとは限りません。借金の理由や金額などによっては認められないケースもあるため注意が必要です。
自己破産ができる条件
支払いが不能であること
自己破産は支払い不能にならなければ成立しません。支払い不能とは、今後借金を返済していくだけの経済力・財産が無い状態を指します。
非免責債権以外の借金があること
自己破産後に支払いが免除となる借金は、カードローン・キャッシング・住宅ローンなどに限られます。
つまり、非免責債権以外の借金でなければ、自己破産をしても支払い義務は残るということです。
出典:非免責債権とは?
免責不許可事由に該当しないこと
自己破産をして返済義務が免除となる借金は、「免責不許可事由に該当しない」ことが条件です。免責不許可事由には、浪費・ギャンブル・虚偽の理由での借金などが該当します。
また、過去7年のうちに自己破産をしている場合も免責不許可事由となり、自己破産の手続きは受けられません。
しかし、免責不許可事由に該当する借金は必ずしも自己破産ができないとは限りません。借金の程度や事情によっては、裁判所が自己破産を認めてくれる可能性もあります。
ただし、免責不許可事由となる借金の場合、財産の管理や処分を行いながら破産手続きを進める「管財事件」となる可能性が高く、その際は費用や時間も要するため注意してください。
自己破産ができない条件
借金額が少ない
借金額が少ない場合、自己破産が認められない可能性は高くなります。一般的に、借金額が少ないとは「100万円以下」「年収の3分の1以下」くらいの金額が目安です。
ただし、借金額が少ないからと言って自己破産が認められないとは限りません。自己破産の実施可否は収支のバランスを見て判断されることから、収入が少なければ支払い不能とみなされる場合もあります。
浪費での借金が多い
自己破産が認められるには、「免責不許可事由に該当しないこと」という条件が付きます。
自己破産を認めるかどうかはあくまでも裁判官の判断となります。浪費やギャンブルが負債の原因であれば、借金を免責にしても良いとは思われにくいでしょう。
過去7年間で自己破産をしたことがある
自己破産は回数に制限がありません。その分、債権者を守るために「前回の自己破産から7年」が経過していなければ自己破産を認めないと法律で決まっています。
そのため、自己破産をするには7年以上の期間を空ける以外にも、前回と違う理由での借金でなければならない、反省が伺えるなどの厳しい基準があると認識しておきましょう。
裁判所への予納金が支払えない
自己破産をするには、裁判所へ予納金を支払う必要があります。予納金の額は裁判所によって異なりますが一般的に2万円程度で、管財事件は追加で20万円程度と言われています。
予納金の支払いが難しい場合、弁護士・司法書士・法テラスなどに相談するのも一つの手段でしょう。
自己破産の同時廃止の条件
基本的に債務者が自己破産を申請すると、その後破産管財人が財産を換金し各債権者へ配当されます。この配当が終わるまでをワンセットで「破産手続き」と呼びます。
同時廃止は、債務者が申請したと同時に破産手続きが終了するため、財産の換金や債務者への配当は行いません。
ただし、同時に借金が免責不許可事由に該当しないことも条件となるため注意してください。
同時廃止のメリット・デメリット
同時廃止は自己破産のなかでも、債務者にとっては財産を売却されずに済む、破産管財人に対する費用がかからないなどのメリットがあります。
そのため、同時廃止は厳しく審査されると認識しておきましょう。また、法人の破産は個人に比べ、同時廃止が認められる可能性は限りなく低いです。
自己破産の条件を満たせなかった場合の対処法
万が一自己破産が認められなかった場合、任意整理・個人再生という2つの対処法も検討してみてください。
任意整理に切り替える
任意整理は、以下の人におすすめの手続きです。また、任意整理は自己破産にはないメリットもあります。手続きが向いている人、主なメリットは以下です。
- 毎月の支払額を減らせば返済できる人におすすめ
- 無理なく元金を返していける
- 住宅や車などの財産を残せる
任意整理とは、今後発生する利息をカットし、元金を長期分割にて返済することを主な目的とした手続きです。
借金額が多いと利息だけを支払ってばかりで、元金が返せず借金地獄から抜け出せないケースは少なくありません。任意整理が認められれば、無理なく元金を返していける点はメリットです。
また、住宅や車などの財産を処分される心配もありません。ただし、任意整理は債権者との和解によって成立するため、債権者が拒否をすれば手続きが進められないため要注意です。
個人再生に切り替える
個人再生には、以下のメリットがあります。また、おすすめな人の特徴についても挙げているため参考にしてみてください。
- 任意整理よりも毎月の支払額を抑えられる
- 住宅や車などの財産を残せる
- 今後の安定した収入見込みが必要となる
裁判所に許可された場合、毎月の返済額を大幅に減らせる手続きです。個人再生が認められた際は、一般的に借金を5分の1まで減額できるため、毎月の支払い額を大幅にカットできます。
自己破産のように財産を手放して換金することがないため、住宅や車などは手元に残せます。ただし、今後も安定した収入を確保できる見込みがなければ手続きはできません。
ギャンブルでの借金・奨学金は自己破産の対象?
ギャンブルでの借金は、免責不許可事由に該当すれば自己破産の対象外となります。ただし、裁判官が認めた場合は裁量免責となり、自己破産の対象となる場合もあるのです。
一方、奨学金は免責不許可事由に該当せず自己破産の対象となります。また、奨学金は自己破産後も返済義務が残る「非免責債権」にも当てはまらないため、手続き後の返済義務はありません。
さらに、自己破産をすれば奨学金の返済義務は保証人へ移ります。本人が返済する必要はないものの保証人に一括返済請求が届くため、保証人に迷惑をかけてしまうのは避けられない側面があります。
奨学金には月々の返済を減らす「減額返還制度」や、一定期間返済を待ってもらえる「返済期限猶予制度」といった制度があります。自己破産の前にこれらの制度を検討するのも手です。
自己破産した事実は家族に知られる?
自己破産をするにあたって、家族に知られることを懸念する人は少なくないでしょう。ここでは、自己破産をすると家族に知られるか否かについて解説します。
基本的に影響はなくバレる可能性も低い
基本的に、自己破産の影響範囲は本人にしかありません。そのため、家族への影響は少なくバレる可能性も低いと言えるでしょう。
また、自己破産をしたことは戸籍やマイナンバーには記載されません。官報には掲載されますが個人で読む機会はあまり無いため、家族にバレる心配はほぼないでしょう。
同居する家族がいる場合はバレる可能性あり
家族が連帯保証人になっている他に、同居している場合もバレずにいられる可能性は極めて低いでしょう。理由は、自己破産で財産を処分する際、住宅を手放さなければいけないからです。
その他にも破産管財人の調査が入ったタイミングや、申立てに必要な書類が見つかったタイミングなど、バレる可能性がある機会は少なくありません。
自己破産をしない方が良い場合とは?
自己破産は借金をゼロにするという大きなメリットがありますが、手続きをしない方が良いケースもあります。具体的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 住宅や車を手放したくない
- 保証人に迷惑をかけたくない
- 今後クレジットカードやローンを契約する予定がある
- 現在資格制限のある職業に就いている
自己破産をすると、原則的に20万円以上の財産を処分しなければなりません。マイホームや車を手元に残しておける確率は低いため、手放したくない場合は自己破産はしない方が良いです。
また、自己破産で返済義務が免除される対象は自分のみで、保証人が代わりに支払い義務を負います。
そして、自己破産後はブラックリストに登録されます。ブラックリストに載っている間に、クレジットカードやローンを契約できる可能性は極めて低いです。
そのため、10年以内にクレジットカードの利用やローンの契約を考えている場合、自己破産は実施しないのが無難です。
また、自己破産における資格制限の対象となる職業に就いている人は要注意です。保険募集人や旅行関係などが該当し、これらの職業に従事している人は資格を喪失する恐れがあります。
出典:自己破産で不動産や現金などの財産処分はどう行われる? ‐ 債務整理弁護士相談広場
自己破産は弁護士・司法書士に相談しよう!相談するメリットなどを解説
ここまで、自己破産の条件について解説しました。自己破産の手続きは複雑であるため、自力で対応するのではなく弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
相談するメリット
自己破産の手続きは非常に複雑で、幅広い知識が無ければ対応は難しいです。弁護士や司法書士に相談することで、手続きの一部またはすべてを一任できるためスムーズに進められます。
自己破産における弁護士と司法書士の違い
弁護士と司法書士によって、請け負える業務の範囲が異なります。自己破産における弁護士と司法書士の主な違いは以下の通りです。
弁護士
弁護士は申立人の代理として活動できるため、裁判官とのやり取りが必要になる手続きも依頼できます。ただ、司法書士と比べ任せられる範囲は広いものの、費用がやや高めとなるケースも想定されます。
司法書士
司法書士は担当できる業務範囲が決まっており、自己破産における代理人となって法廷に立つことはできません。
司法書士が代行できるものとして書類作成が挙げられます。その後の申立てや裁判官とのやり取りは、残念ながら依頼者本人が行わなくてはなりません。
相談先の選び方
弁護士と司法書士を併せると、事務所は全国各地に多くあります。それぞれの事務所によって特徴が異なるため、自分のニーズに合ったものを選びましょう。
相談先を選ぶ際は、以下のポイントを参考に検討してみてください。
- 費用は相場と比べてどのくらいか
- 相談しやすい空気感か
- 自己破産に強いか、実績があるか
弁護士や司法書士へ相談する際の費用は、非常に重要なポイントとなります。そのため、相場と比較してあまり高くないところを選ぶと良いでしょう。
そして、事務所にはそれぞれ強みや過去の実績が異なります。自己破産の問題解決事例が多い事務所を選ぶと成功率アップに繋がるかもしれません。
自己破産におすすめの弁護士・司法書士事務所
債務整理を依頼するのに、当サイトが特におすすめする弁護士・司法書士事務所は、次の3社です。
それぞれの事務所の特徴や費用、おすすめする理由についてはここから詳しく紹介していきます。
サンク総合法律事務所

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最短即日で借金の取り立てや催促を止めてくれるので、今すぐ催促から解放されたい方にもおすすめです。

着手金 /1件 |
55,000円〜 | 報酬金 /1件 |
11,000円〜 |
減額報酬 | 11% | 過払い 報酬 |
回収額の22%※ |
※訴訟による場合は回収額の27.5%。
※金額は全て税込み表示です。
所在地 | 〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-2-2 UUR京橋イーストビル2階 |
対応業務 | 債務整理、貸金問題、離婚・相続・遺言、民事事件一般、不動産取引、刑事事件など |
東京ロータス法律事務所

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返還額の22%※ |
その他 諸費用 |
5,500円 |
※訴訟の場合は27.5%。
※金額は全て税込み表示です。
所在地 | 〒110-0005 東京都台東区東上野1丁目13番2号成田第二ビル2階 |
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相談者の「自宅や車は残して借金だけ減らしたい」「誰にも知られずに債務整理したい」といった希望にも沿い、解決への最善策を提案してくれるでしょう。

着手金 /1件 |
0円 | 報酬金 /1件 |
22,000円〜 |
減額報酬 | 11% | 過払い 報酬 |
返還額の22%※ |
※10万円以下の場合:14%+計算費用11,000円。
※金額は全て税込み表示です。
所在地 | 〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階・6階(東京本店) |
対応 業務 |
債務整理、過払い金請求、相続・贈与関連、不動産・商業登記業務など |
まとめ
この記事では、自己破産ができる・できない条件について解説し、弁護士・司法書士に相談するメリットなども紹介しました。
自己破産ができる条件としては、支払い不能であること・非免責債権以外の借金があること・免責不許可事由に該当しないことなどが挙げられます。
反対に自己破産ができない条件として挙げられるのは、借金額が少ない・浪費での借金が多い・過去7年間で自己破産経験があるなどです。