
借金を続けているうちにとても返済できないような金額になった時、自己破産を検討する人も多いのではないかと思います。
自己破産の手続きはとても複雑なため、どのような流れで手続きが進むのかを事前に知っておくことで、ある程度心づもりができるでしょう。
この記事では、自己破産に申し立てをしたあとの手続きの流れや必要書類などについて解説していきます。
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自己破産の仕組みとは?
自己破産とは、借金が返済できない状況になった時に、裁判所に申し立てをすることで借金を全額免除してもらう手続きのことです。
他の債務整理方法と違い、借金の減額ではなく「0」に出来るため、生活の立て直しも可能となります。
ただし、自己破産手続きは所有する財産によって手続き方法が変わります。
また、他の債務整理方法と違っていくつかのリスクもあります。
自己破産の種類
自己破産には3つの種類があり、それぞれの手続きの違いによって免責許可が出るまでの期間や費用が違ってきます。
3つの手続き方法の違いについて、下記の表にまとめました。
免責許可がでるまでの期間 | 予納金 | |
同時廃止事件 | 2~3カ月程度 | 数万円程度 |
管財事件 | 6カ月~1年程度 | 50万円~ |
少額管財事件 | 3~6カ月程度 | 20万円程度 |
同時廃止事件は、手続きに時間がかからず、予納金も少額で済むというメリットがあります。
自己破産と任意整理・個人再生の違い
債務整理方法には、自己破産以外にも任意整理や個人再生といった手続き方法があります。
自己破産手続きとどのような点が違うのか、分かりやすく下記の表にまとめました。
自己破産 | 任意整理 | 個人再生 | |
裁判所での手続き | 申し立てが必要 | 必要なし | 申し立てが必要 |
官報への掲載 | 掲載あり | 掲載なし | 掲載あり |
借金の減額 | 借金が全額免除 | 将来利息のカットなど | 借金が最大5分の1程度まで減額 |
財産の処分 | 生活に必要な最低限の財産以外は処分 | 必要なし | 基本的には必要なし |
自己破産手続きは借金を全額免除してもらえるため、任意整理や個人再生のように、返済を続けていく必要がありません。
その代わりに、自宅や車などほとんどの財産を処分する必要があるため、生活に大きく影響する可能性があります。
【管財事件・少額管財事件】自己破産手続きの流れ
それでは、自己破産手続きの具体的な流れについて解説していきます。
管財事件・少額管財事件の主な適用条件は以下の通りです。
管財事件 | 一定以上の財産がある、または調査が必要だと判断された場合。 |
---|---|
少額管財事件 | 財産が一定額以下で免責不許可事由(ギャンブルでの借金等)がない場合。 |
まずは手続きに時間がかかる、管財事件と少額管財事件の手続きの流れを確認していきましょう。
①弁護士または司法書士と契約する
自己破産手続きは書類作成や裁判所とのやり取りなどに時間も手間もかかるため、できれば弁護士や司法書士事務所に依頼することをおすすめします。
自分に合った弁護士や司法書士が見つかったら、まずは委任契約書を締結します。
費用面などに不明瞭な部分がないか、契約前によく確認しておきましょう。
②受任通知の送付と取引履歴の開示請求
弁護士や司法書士との契約が済んだら、弁護士等は、すぐに債権者に受任通知を送付します。
受任通知とは、債務者の代理人になったことを債権者に通知するものです。
同時に、債権者に対して取引履歴の開示請求も行います。
取引履歴が開示されたら、弁護士や司法書士は、取引履歴を元に契約した年月日や借金の金額、返済履歴などの記録を確認します。
また、過去に利息制限法以上の金利での借り入れをしていた場合は、現在の利息制限法に合わせて利息を計算しなおす「引き直し計算」を行います。
③自己破産の申し立て書類の作成
自己破産の申し立て時に提出する必要がある書類を用意し、弁護士や司法書士に引き渡します。
弁護士等は、依頼人が集めた書類を受け取った後、依頼人本人から借金の経緯などを細かく確認し、債権者からの取引履歴なども参考にして申し立て書類を作成していきます。
申し立て書類の書き方は複雑で、債務者本人自身で作成するのはかなりハードルが高いため、申し立て書類の作成経験が豊富な弁護士や司法書士にお任せすることで、手続きがスムーズに進みます。
④自己破産申し立て書類の提出
自己破産の申し立て書類の作成が終わったら、裁判所に提出します。
裁判所で書類の内容や足りない書類がないか等を確認し、不備があった場合は書類の再提出や内容の確認などが行われる場合もあります。
その後、裁判所で申し立て人と弁護士、裁判官とで面談が行われます。
⑤破産手続きの開始決定
裁判所での書類と面談に問題がなければ、破産手続きの開始決定が下されます。
ここまでの流れは、同時廃止事件も管財事件もまったく同じ手続きですが、ここから先は、管財事件になった場合だけ行われる手続きとなります。
⑥破産管財人の選任
管財事件(少額管財事件)となった場合は、破産管財人が選任されます。
破産管財人は業務経験に長けた弁護士が選任されます。
⑦破産管財人との面談
破産管財人が選任されたら、破産管財人の事務所に弁護士とともに出向き、三者で面談を行います。
破産管財人からの質問に回答しなければならないため、事前に弁護士から面談で聞かれることについてアドバイスを受けておきましょう。
⑧財産の調査と換価処分
破産管財人は申立人の財産を調査し、必要に応じて財産の換価(現金化)処分をすることが出来ます。
⑨債権者集会
破産管財人は、債権者に破産手続きの進捗状況などを報告するための「債権者集会」を開きます。
債権者に対して、財産の換価状況などの報告を行い、債権者から質問があればそれに対して回答をします。
債権者集会には、破産者本人と代理人弁護士、破産管財人、裁判官、債権者が出席します。
債権者集会と聞くと不安になるかもしれませんが、処分する財産が少なければ実際に債権者が出席することは少なく、集会自体も10分ほどで終わります。
また、債権者からの質問にも弁護士が回答してくれます。
⑩債権の確定と配当
債権者集会で特に配当する財産がなければ「異時廃止」されて、破産手続きは終了します。
もし債権者に配当がある場合は、別途配当される期日が設定され、配当が終わったら破産手続きが終結します。
⑪免責審尋
破産手続きが終結したら、続いて免責審尋が行われます。
裁判官からの質問に回答するといった形が取られます。
地方裁判所によって実施される形が違い、一対一の個別対応の場合もあれば、集団で行われる場合もあります。
⑫免責許可の決定と確定
免責審尋のあと1週間程度で、裁判所が免責許可を出すか、不許可となるかの決定が出されます。
免責許可決定後2週間程度で官報に掲載され、その後さらに2週間後に免責許可が確定されます。
これにより、自己破産手続きは終了となります。
【同時廃止事件】自己破産手続きの流れ
特に処分する財産がない同時廃止事件の場合、管財事件と違って債権者集会などが開かれないため、手続きが早く終わるのが特徴です。
同時廃止事件の場合の手続きの流れは、下記の通りです。
- 弁護士または司法書士と契約する
- 受任通知の送付と取引履歴の開示請求
- 自己破産の申し立て書類の作成
- 自己破産申し立て書類の提出
- 破産手続きの開始決定
- 免責審尋
- 免責許可の決定と確定
同時廃止事件の場合、調査すべき財産がないことから破産管財人が選定されず、破産手続き開始決定と同時に破産手続きが終了します。
自己破産手続きに必要な書類
自己破産手続きにはたくさんの書類が必要となり、裁判所から取り寄せて記入する書類もあれば、市役所等に請求して発行してもらう書類などがあります。
自己破産手続きで用意すべき書類一覧は下記の通りです。
- 自己破産申立書
- 陳述書
- 債権者一覧
- 財産目録
- 家計簿
- 住民票、戸籍謄本
- 収入が分かるもの(給与明細書等)
- 預金通帳のコピー
- 源泉徴収票、課税(非課税)証明書
- 不動産登記簿謄本または賃貸借契約書のコピー
- 退職金見込み額証明書
- 自動車の車検証・査定書
- 保険証書、保険解約返戻金証明書
- その他裁判所から要求された書類
自分の手元にすでにある書類と、手配する必要がある書類は何かをリストアップし、書類の漏れがないように注意しましょう。
自己破産手続き前に確認すべき5つの注意点
ここまで自己破産手続きについて確認してきましたが、自己破産手続きは「借金が0」になるというメリットだけでなく、いくつか注意したいポイントもあります。
自己破産の手続きを開始する前に、これから紹介する5つの注意点について確認しておきましょう。
1.自己破産後はブラック状態になる
自己破産手続きをすると、個人信用情報に「金融事故」としての記録が残り、いわゆる「ブラック」状態となります。
住宅ローンや自動車ローン、教育ローンといった生活に直結するローンを組もうと思っても、ブラック状態の間はローンが組めないため、家族に迷惑がかかる場合もあることを認識しておきましょう。
2.必要最低限の財産以外は処分対象となる
自己破産手続きをすると、生活に必要な最小限の財産以外はすべて処分対象となります。
99万円以下の現金や、生活に欠かせない家財道具など一定の財産ついては処分されることはありませんが、下記のようなものは処分対象となります。
- 不動産
- 査定額が20万円を超える車やバイク
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える預貯金
- 20万円を超える有価証券
- 20万円を超える価値のあるもの(貴金属、ブランド品、骨とう品など)
特に世帯主が自己破産をした場合は自宅も処分対象となるため、家族の生活にも大きな影響が出てしまいます。
3.手続き中は資格制限がかかる
自己破産手続き中は、一部の資格が利用できなくなる「資格制限」がかかります。資格制限がかかる職業には、主に下記のようなものがあります。
- 弁護士、司法書士、税理士などの士業
- 警備員
- 旅行業務取扱の登録者、管理者
- 生命保険募集人
- 宅地建物取扱主任者
自己破産の免責許可が確定するまでの期間、資格制限がかかる職業で仕事をすることが出来なくなってしまいます。
職場にも迷惑がかかる場合もありますので、資格制限に該当する職業に就いている人が自己破産をする場合は特に注意が必要です。
4.保証人に迷惑がかかる
自己破産をすることで、借金の保証人や連帯保証人になっている人には債務の残りを一括で返済する義務が発生してしまいます。
自己破産をすることで迷惑をかける人もいることを認識し、保証人になっている人に事前に話をしておくことをおすすめします。
5.必ず免責許可が下りるとは限らない
自己破産手続きをすると必ず借金が全額免除になるわけではなく、免責不許可事由があると免責許可がでない場合もあります。
例えば、免責不許可事由には下記のようなものがあります。
- 浪費、ギャンブルなどでの借金
- 不当な財産隠し
- 不当な債務負担
- 虚偽の債権者名簿を提出
- 破産管財人の妨害行為
- 裁判所への説明拒否または虚偽説明
- 過去7年以内に免責を受けた
ただし、免責不許可事由があっても、裁判所の裁量によって免責が許可される場合もあります。
すべては裁判所の判断次第となりますので、免責不許可事由に自分が該当しないかよく確認をしておきましょう。
自己破産手続きは弁護士に依頼するのがおすすめ
自己破産手続きを破産者本人が一人ですることは困難なため、できるだけ弁護士に依頼することをおすすめします。
自己破産手続きを弁護士に依頼する具体的なメリットを確認しておきましょう。
1.面倒な手続きをすべてお任せできる
自己破産手続きにはたくさんの書類の提出が必要ですし、どのように記載すればいいか分からない書類も多いです。
弁護士に依頼すれば、複雑な書類作成から裁判所への提出まですべてお任せ出来ます。
2.免責許可が下りやすい
自己破産手続きでは、書類の提出だけでなく、裁判官や破産管財人との面談があります。
実績豊富な弁護士に依頼すれば、今まで経験してきた自己破産手続きのノウハウによって面談での受け答えをスムーズにし、免責許可がでやすいように進めてくれます。
裁判官や破産管財人との面談前には、弁護士とよく打ち合わせをしておきましょう。
3.少額管財事件も利用できる
自己破産手続きの中で、処分する財産が少ない場合は少額管財事件が適用される場合もあります。
しかし、少額管財事件では弁護士に依頼していることが条件となります。
少額管財事件が適用されると予納金を抑えることが出来る上に、破産手続きを早く終わられることも可能です。
4.自己破産以外の方法についても柔軟に対応してもらえる
自分では「自己破産をするしかない」と考えていても、実は個人再生の方が向いているケースもあります。
その判断を自分ですることは難しいため、弁護士等の専門家に相談することで、自分にベストな債務整理方法を提案してもらえます。
自己破産をすることに不安がある場合は、まずは弁護士等の専門家に事前によく相談することをおすすめします。
自己破産におすすめな弁護士・司法書士事務所6選
債務整理を依頼するのに、当サイトが特におすすめする弁護士・司法書士事務所は、次の3社です。
それぞれの事務所の特徴や費用、おすすめする理由についてはここから詳しく紹介していきます。
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まとめ
今回は、自己破産の流れについて詳しく解説しました。自己破産手続きは、管財事件か同時廃止事件のどちらになるかで手続きにかかる期間が変わります。
自己破産にはリスクもあることを認識し、家族などとよく相談してから手続きを進めるのがおすすめです。
また、管財事件の場合は破産管財人との面談や債権者集会など、手間のかかる手続きが増えますので、弁護士に依頼してスムーズに手続きを進めましょう。
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