
法外な金利でお金を貸したあと、怖い取り立てや嫌がらせなどを行う違法な業者は「闇金業者」と呼ばれています。
この闇金業者の手口は多様化しており、実際にある貸金業者のグループ会社のような名前でホームページが作られていたため、闇金業者とは分からずにうっかり利用してしまったというケースもあるようです。
もしこのように実際に被害にあってしまった場合、自力での解決は難しいため、弁護士への相談を考える人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、闇金の相談を弁護士にするメリットや、弁護士事務所の選び方、注意点などについて解説していきます。
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弁護士は闇金問題に対応してくれる?
闇金業者は、正規の貸金業者として登録せず、法外な金利で貸付行為を行う違法な業者です。
闇金業者とは、とても返済できないような法外な金利で貸付を行い、返済に遅れると怖い督促や嫌がらせ行為などを行う悪質な業者です。
このような悪質な業者を利用してしまいトラブルに発展した場合に、いきなり警察に行くより、まず「弁護士に相談しよう」と考える人も多いのではないでしょうか。
確かに、闇金業者とのトラブルに対応している弁護士事務所は存在します。闇金業者は弁護士の介入を嫌がるため、弁護士への相談で解決する可能性は高いです。
そのため、まずは相談を考えている弁護士事務所が闇金問題の対応をしてくれるのか、今まで闇金問題に対応した実績があるのかを確認してから依頼することが大切です。
闇金問題を弁護士に相談する4つのメリット
闇金業者から怖い督促や嫌がらせ、また高額の返済を要求されるなどして困った時には、早めに闇金問題の対応が可能な弁護士事務所に相談しましょう。
ここでは、闇金とのトラブルを闇金問題に対応している護士に相談するメリットをいくつか紹介していきます。
闇金からの督促を止められる
闇金問題への対応が可能な弁護士と契約が完了したら、弁護士はすぐに闇金業者に対して自分が代理人になったことを通知し、今後督促行為をしないように警告をします。
それでもしつこく連絡をしてくる場合は、担当弁護士に相談してさらに強い交渉をしてもらいましょう。
返済する必要がなくなる
闇金業者はよく「トイチ」「トサン」「トゴ」などの専門用語を使いますが、トイチとは「10日で1割の利息がつく」という意味で、これを年利で計算してみると、年365%と明らかに違法な金利となります。
このような暴利での貸付を行う闇金業者からの借入は、言われたとおりに返済する必要はありません。
また、出資法の上限金利(20%)を超える金利での貸付は、刑事罰の対象となります。
さらに「不法原因給付※1」に該当すると、闇金との契約そのものが無効となり、返済義務が無くなる可能性があります。
弁護士に依頼すれば、このように様々な法的な利用から、法外な金利での貸付は違法性があることを主張してくれるため、闇金業者も手を引く可能性が高いでしょう。
※1:不法原因給付とは、不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求できないというもの。(民法708条)
出典:ヤミ金融業者に係る最高裁判決の概要について|金融庁
出典:上限金利について|日本貸金業協会
支払ったお金を回収できる可能性もある
先にも解説したように、闇金業者からの法外な金利での貸付が「不法原因給付」に該当すると、返済義務がなくなる上に、今までに返済しているお金も返してもらえる可能性があります。
先ほど紹介した最高裁判所の判決でも「利息分だけでなく、支払った元本・利息の全額を損害として請求できる」とした判決が出されています。
弁護士に依頼すれば、借入残高だけでなく、すでに払ったお金も回収できる可能性があります。
リスクなく穏便に解決できる可能性が高い
業者が明らかに法定外の金利で貸付を行っていることが分かれば、「自分一人で交渉しても引き下がるのではないか?」と思う人もいるかもしれません。
その点、弁護士が介入することで、嫌がらせなどのリスクなく、穏便に解決できる可能性が高くなるのです。
闇金問題を弁護士に相談すべき理由
闇金を利用してしまいトラブルに発展してしまった場合、警察に相談に行くことを考える人も多いかもしれません。
しかし、警察に行く前に、できれば闇金問題への対応が可能な弁護士に相談することをおすすめします。
相談だけでは警察が動いてくれない場合がある
警察には闇金についての相談は可能ですが、相談をしたからといって必ず捜査をしてくれる訳ではありません。
しかし、闇金問題の対応が可能な弁護士であれば、法律を利用して動けるため、法定外の金利で貸付行為を行っている時点で違法行為として相手と交渉ができます。
被害届を受理してもらえない場合がある
警察に被害届を提出したとしても、以下のような場合は被害届を受理してもらえない可能性があります。
- 相手の特定が困難な場合
- 民事事件の場合
- 被害の程度が軽い場合
- 被害にあってからかなり時間が経過している場合
闇金業者は電話番号や住所を掲載せずに営業している場合も多く、捜査をするにも相手がどこにいるのか、所在すらつかめないケースも少なくありません。
このように、警察に被害届を提出したとしても受け付けてもらえない可能性があるため、まずは闇金問題への対応が可能な弁護士に相談し、状況に応じて警察にも同行してもらうことで、話が進みやすくなるでしょう。
被害届を受理しても警察が動いてくれない場合もある
警察に被害届を提出して警察が受理してくれたとしても、その後にしっかりと警察が捜査に動いてくれるとも限りません。
なぜなら、先にも解説したように、闇金業者はその実態が掴みにくく、所在地も誰が代表者なのかも分からない場合が多いためです。
しかし弁護士であれば、所在地が分からなくとも、利用者に代わって電話をかけるだけで連絡が取れるため、比較的交渉がしやすい立場であると言えるでしょう。
闇金問題を相談する弁護士事務所の選び方
闇金をうっかり利用してしまい、その後トラブルになってしまった場合は、早めに闇金問題に対応している弁護士に相談しましょう。
しかし、闇金問題に対応していないケースもあるため、どの弁護士事務所でも相談できるわけではありません。
ここでは、闇金対応を依頼する弁護士事務所の選び方について確認していきましょう。
闇金問題に対応している
先にも解説したように、闇金のトラブルを相談するなら、依頼を検討している弁護士事務所が闇金に関する相談が可能かを必ず確認しましょう。
まずは闇金問題に関する依頼は可能か、電話などで事前に確認しておきましょう。
闇金問題の対応実績が豊富
闇金関係の相談が可能な事務所であることが確認できたら、今迄の闇金問題の対応実績も確認しておきましょう。
いままで闇金との交渉をたくさんこなしてきた実績がある事務所であれば安心して依頼できますが、闇金に対応していると言いつつ、それほど実績がない事務所では不安になってしまうかもしれません。
闇金問題の対応実績をホームページに掲載している弁護士事務所もありますので、まずはホームページを確認し、分からない場合は電話などで相談してみましょう。
契約前に費用を明確にしてくれる
弁護士事務所に相談する時に心配なのは「依頼費用がいくらかかるのか」という点ではないでしょうか。
弁護士の依頼費用は分かりづらい部分もあるため、相談時に詳細について分かりやすく説明をしてくれる弁護士事務所に依頼することをおすすめします。
よって、契約前に費用面をしっかり説明してくれる事務所に依頼するようにしましょう。
早急に対応してくれる
闇金業者とのトラブルは、少しでも早く解決したいと考えている人が多いはずです。そのため、依頼後は早急に対応してくれる弁護士事務所を選ぶことをおすすめします。
まずは相談時に早めの対応を希望していることを話し、すぐに対応してもらえるのか、事前に確認してみましょう。
土日・祝日・24時間相談に対応している
闇金対応は困った時にすぐにでも相談したい人が多いはずですので、できれば土日や祝日にも対応している弁護士事務所に相談してみましょう。
土日祝日や24時間対応の事務所であれば、いつでも相談したい時に電話をかけやすいでしょう。
電話受付時に面談予約をしたあと、改めて事務所に来所して担当弁護士と面談する流れとなります。
闇金問題を弁護士に相談する流れ
では実際に、闇金問題を闇金対応が可能な弁護士に相談してから契約するまでの流れについて紹介していきます。
1.電話などで相談する
相談してみたい弁護士事務所が決まったら、いきなり事務所に行くのではなく、まずは電話で相談をしましょう。
電話対応は事務スタッフが対応することがほとんどですが、まずは自分が相談したい内容を詳しく話し、弁護士との面談予約をします。
この時点で必ず、自分がお願いしたいのは闇金に関するトラブルであることを話し、闇金でも対応可能かを確認することが大切です。
2.事務所で相談して納得したら契約をする
面談予約をした日に弁護士事務所に行き、詳細について担当の弁護士に話を聞いてもらいましょう。担当弁護士の対応に満足し、費用面にも問題がなければ、弁護士と委任契約を締結します。
3.弁護士から闇金業者へ通知
弁護士との契約が終わったら、担当弁護士はすぐに闇金業者に対し、代理人になったことを通知します。
弁護士の介入が分かった時点で手を引く闇金業者もいますが、それでもしつこく電話をかけてくる業者も存在します。その場合は、引き続き弁護士が闇金業者と交渉を続けます。
4.闇金業者と交渉し解決
担当弁護士が闇金業者と交渉し、利用者にとって不利な条件にならないように話をしてくれます。
闇金業者としてもあまりにトラブルが大きくなってしまうと警察沙汰になる可能性が高いため、できるだけ早く穏便に解決する方法を選択することが多いようです。
ただし、実際の解決方法は個々の事情や闇金業者の対応によって変わるため、契約した担当弁護士とどのような和解方法をするのか、しっかりと話をしておきましょう。
闇金業者が「弁護士は意味がない」と言うのはなぜ?
闇金と話をすると「弁護士に相談しても意味がないぞ」などの脅し文句を言われるケースもあるようです。なぜ闇金は「弁護士に相談しても意味がない」と言うのか、その理由について確認していきましょう。
弁護士には勝てないと思っているため
闇金業者が「弁護士に相談しても意味がない」と言う理由の一つが、闇金利用者が実際に弁護士に相談されたら困るためです。
そのため、弁護士に介入されると「面倒だ…」と考え、弁護士が連絡した途端に手を引く闇金も多いようです。
利用者からお金を回収できなくなるため
闇金業者にとって、弁護士に介入されることで顧客からお金を回収できなくなってしまいます。
これまで言われた通りに返済していた顧客であっても、弁護士が介入するとそれ以降はお金を回収できない可能性が高く、顧客を失ってしまうことになります。
貴重な顧客を取られてしまうことを避けるために「弁護士に相談してもムダ」「弁護士に言ってもお金は回収するぞ」などと脅してくるのです。
口座が凍結されるリスクがあるため
弁護士であれば、違法な貸付行為をしている闇金業者が使用している口座を「違法行為に使われているので口座凍結して欲しい」と要請ができます。
その後、銀行の判断により、闇金業者の銀行口座を凍結することができます。
闇金にとっては銀行口座は営業に不可欠なものであるため、口座が凍結されることは大きな痛手となります。
警察に目を付けられるため
闇金業者が弁護士に関わられたくないと考える大きな理由の一つが、弁護士と警察の連携です。
弁護士が介入することで、弁護士から警察に通報される可能性があり、そうなると営業自体ができなくなってしまいます。
闇金業者は、このように弁護士が関わることで警察に連絡されるリスクも避けたいため「弁護士に言っても意味がない」などと話して、利用者が弁護士に相談することを回避させようとしてくるのです。
まとめ
闇金を利用してしまいトラブルになってしまった場合は、闇金問題に対応可能な弁護士に依頼することで解決できる可能性があります。
闇金業者は「弁護士に相談してもムダ」などと脅してくる場合もあるかもしれませんが、闇金は弁護士の介入をとても嫌がるため、実際には顧客が弁護士に依頼したことが分かるとすぐに手を引く業者も多いようです。
よって、闇金業者から怖い督促や高額な返済を要求されて困った場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
ただし、すべての弁護士事務所が闇金問題に対応しているわけではないため、弁護士に相談する時には、必ず闇金問題の対応が可能か確認することをおすすめします。