債務整理とは?種類と違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説!
「債務整理とは?」借金が膨らみ、毎月の返済の負担が大きいと債務整理について検討することもあるかと思います。
しかし債務整理に関しては、有益かつわかりやすい情報は少ないのが現状です。また人にも相談しづらい内容であるため、債務整理について調べると1人で悩むこともあるでしょう。
そこで、この記事では債務整理についてわかりやすく解説します。
- 債務整理とは借金問題を解決する制度のこと
- 債務整理すると借金猶予または減額が受けられる可能性や借金の催促が止まるなどのメリットがある
- 債務整理は専門家である弁護士・司法書士に依頼するのがおすすめ!
この記事を読むと債務整理の種類や違い、進め方、メリット・デメリットがわかります。ぜひチェックしてみてください。
涌井好文
就職氷河期の中、自身が非正規雇用を経験。それが労働者の雇用環境に興味をもつきっかけとなり、社会保険労務士の資格を取得。社会保険労務士として開業登録を行ってからは、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活躍する。近年では活動の幅をウェブまで広げ、クラウドソーシングサイトやSNSを主軸に、記事の執筆や監修を行う。
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目次
債務整理とは?
債務整理とは、借金問題を解決する制度です。債務整理を行うと、合法的に借金を減額したり支払いに猶予を持たせたりすることが望めます。
債務整理には主に、次の4つの方法があります。
- 任意整理
- 特定調停
- 個人再生
- 自己破産
債務整理は基本的に、弁護士など法律の専門家のアドバイスを受けながら進めていきます。
法律で認められている制度であるため、できるだけ早く弁護士や司法書士に相談するのが借金問題解決への近道です。
費用の相場に関しては以下の記事を参考にしてみてください。
債務整理は2回目もできる?
結論から言えば、債務整理は2回目でも可能です。法律上債務整理の回数に上限はありません。
ただし、2回目以降の債務整理が1回目と全く同じように実施できるかと言えばそうとは限りません。
任意整理の場合は、債権者との交渉によって手続きが進むため法律上の制限はありませんが、一度借金を減額してもらっている以上、債権者が2度目の交渉に応じてくれるかは定かではありません。
自己破産の場合、過去7年以内に免責許可決定を受けている事実は、免責不許可事由に該当するため、免責許可が得られる可能性が低くなります。
個人再生の場合、過去7年以内に免責許可決定を受けていれば、主にサラリーマン等を対象とした給与所得者等再生は実施できないのが原則です。
※免責不許可事由:破産法252条に定められる免責許可が得られない事由のこと
出典:ベリーベスト法律事務所
債務整理の種類と違い
債務整理には主に、次の4つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- 特定調停
以下ではそれぞれの特徴と、メリット・デメリットを紹介していきます。
任意整理とは?
任意整理とは、債権者と交渉して借金を無理なく返済できる金額に変更し、生活に支障のない範囲で返済をおこなえるようにするために手続きです。
業者としても、任意整理が債務者(お金を借りている側)から返済を受ける無視できないチャンスです。そのため利息を減らすなど多少の不利益を被ったとしても、任意整理に応じるケースがほとんどです。
任意整理は、裁判所を通さない債務整理の方法です。生活への影響が少ない点は大きなメリットだといわれています。
任意整理のメリット | 任意整理のデメリット |
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個人再生とは?
個人再生とは、裁判所の許可を得た再生計画により、スムーズな借金返済を実現するための債務整理手続です。
個人再生では、借金の総額に対して「最低限返済しなければいけない金額(最低弁済額)」が決まっています。最低弁済基準額は金額によって次の表のように変動します。
借金総額 | 最低弁済額 |
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100万円未満 | 全額 |
100万円以上 500万円未満 | 100万円 |
500万円以上 1,500万円未満 | 借金総額の5分の1 |
1,500万円以上 3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 | 借金総額の10分の1 |
上の表からもわかるように、借金の金額によっては個人再生により借金総額を10分の1まで減額することが望めます。この点こそ、個人再生の大きなメリットだといえます。
個人再生のメリット | 個人再生のデメリット |
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自己破産とは?
自己破産とは、借金を全額免除するための手続です。裁判所に破産を申し立て、裁判所による免責許可決定が確定すれば、養育費や税金などの非免責債権を除く、全ての借金を0円にすることができます。
もちろん申請すれば誰でも認められるわけではなく、「支払不能の認定」を受けなければいけません。
自己破産のメリット | 自己破産のデメリット |
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特定調停とは?
特定調停とは、簡易裁判所に申し立てを行うことで、返済額や返済計画の見直しが図れる債務整理の方法です。次の3パターンのいずれかに当てはまる場合に用いることができます。
- 支払不能に陥るおそれがある方
- 事業の継続に支障を来すことなく債務の返済が困難な事業者(個人または法人)
- 債務超過に陥る可能性がある法人
特定調停では、任意整理と同様に借金をした当初にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)による引き直し計算をします。
引き直し計算によって、減額された元本をもとに分割して返済していくことになります。
特定調停のメリット | 特定調停のデメリット |
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債務整理のメリット・デメリット
債務整理には、大きく分けて4つの方法があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、個人の状況に合わせて自分に適したものを選択しなければいけません。
債務整理のメリット・デメリットを種類別に紹介します。債務整理を検討されている方は、ぜひ参考になさってください。
債務整理に共通するメリット
債務整理にはそれぞれメリットがありますが、共通したメリットは主に次のとおりです。
借金の猶予または減額が受けられる
債務整理をすることで、借金猶予または減額が受けられる可能性があります。借金の金額にかかわらず、条件を満たすことで債務整理の制度が利用可能です。
借金の催促が止まる
弁護士に債務整理を依頼し、弁護士から受任通知(依頼を受けた旨の通知)をお金を貸した側が受けた時点から、直接の催促が止まります。
貸金業法第21条では、弁護士から書面による債務の処理についての委任を受けた旨の通知を受けた貸金業者は、直接の連絡を規制されます。
厳しい罰則があり、この規制に違反して貸金業者から直接連絡をすることができません。
債権者と連絡しなくてよくなる
債務整理の手続きをすると、債権者(お金を貸している側)との連絡は弁護士がおこないます。
そのため、金額の調整や催促の連絡を直接する必要がなくなり、債権者と直接のコンタクトを図らずに済みます。
債務整理を申し出た時点から返済をストップできる
債務整理を弁護士に申し出ると、原則的にその時点から一時的に返済をする必要がなくなります。
返済計画の合意ができてから返済スタートとなるため、無理に返済を開始するをする必要がありません。
生活の立て直しをしやすくなる
債務整理を行うと、借金問題の全容把握ができます。また債務整理では、返済計画を弁護士が一緒に考えてくれます。
債務者の職業や収入の状況に応じて、適切な借金返済の金額を調整し、無理のない返済スケジュールにより生活の立て直しが実現します。
精神的な余裕ができる
借金問題を抱えていると、どうしても精神的な余裕ができません。債務整理を行えば、スムーズな借金返済が可能であるため、借金について悩む必要がなくなり精神的な余裕ができます。
債務整理をするデメリット
債務整理を実施する場合にはデメリットも認識しておきましょう。各債務整理に共通するデメリットは以下の通りです。
- 信用情報に事故情報が登録される
- ローン返済中の物品はローン会社に回収される
- 保証人に残りの借金の一括返済を請求される。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
信用情報に事故情報が登録される
信用情報とは、信用情報機関が管理する個人の借金の記録や、公共料金の支払履歴等をまとめた情報のことです。
信用情報機関に加盟する多くの金融機関は、借り入れの審査等に際して、申込者が融資するべき相手であるか判断するために信用情報を参照します。
債務整理すると、信用情報機関の種類によって異なるものの、任意整理であれば約5年、個人再生・自己破産であれば約5~10年間信用情報に事故情報が登録されるのです。
事故情報が登録されている間は、クレジットカードの新規発行や携帯電話の分割購入ができなくなるなど、様々な弊害が生じます。
出典: くすの木総合法務事務所(埼玉)
ローン返済中の物品はローン会社に回収される
債務整理すると、ローン返済中の物品は所有権を有するローン会社に回収されるのが一般的です。
そのため、ローン返済中の車や住宅は債務整理を機に回収される可能性が高くなります。
ただし、手続きの対象を選択できる任意整理を実施すれば、返済中のローンを対象から外すことで当該物品を維持できます。
また、個人再生であれば「住宅ローン」特則を活用することで、住宅ローンの継続的な返済を条件にローン返済中の住宅を手続きの対象から外すことが可能です。
保証人に残りの借金の一括返済が請求される
債務整理によって減免された借金は、保証人に一括返済を請求されるのが原則です。家族や友人が保証人になっている場合は、事前に相談したうえで債務整理を慎重に検討しましょう。
ではなぜ、主債務者の債務を引き受けた保証人には、分割返済ではなく一括返済が請求されるのでしょうか。
期限の利益とは、契約内容に従い期日までに分割で借金を返済することが認められる債務者の権利を指します。
条件は金融機関によって異なりますが、借金を長期間延滞した場合や債務整理を実施する場合には、期限の利益を主張できなくなるのが一般的です。
債務整理しても変わらないこと
- 職場に判明することはほぼない
- 将来の収入を没収されることはない
- 将来もらえる年金が減ることはない
- 原則として携帯電話は引き続き利用できる
- 選挙権が失われることはない
職場に判明することはほぼない
債務整理したことは、自分からうっかり言ってしまうということがない限りは、ほとんどバレることはないでしょう。
また、自己破産・個人再生の場合は官報掲載がされますが、職場の人がわざわざ閲覧する可能性はほとんどないでしょう。
万が一職場に債務整理がバレたとしても、解雇・減給した場合は違法になります。解雇・減給については安心して良いと言えますね。
将来の収入を没収されることはない
債務整理を行っても将来の収入が没収されることはありません。
① 任意整理
原則として財産が処分されることはありません。② 個人再生
処分される可能性があるのは、原則として担保権が設定された財産のみであり、将来の収入は対象外です。③ 自己破産
ベリーベスト 法律事務所 松山オフィス
処分の対象となるのは、原則的に破産手続開始の決定時点で債務者が所有している財産のみであり、将来の収入は対象外です。
返済を継続していくのは必須です。
将来もらえる公的年金が減ることはない
公的年金は破産法第34条第3項第2号により、差し押さえが禁止されています。
ただ、私的年金は差し押さえの対象になるので、注意が必要です。
原則として携帯電話は引き続き利用できる
債務整理を行っても、原則として携帯は引き続き利用することができます。
ただ、滞納していた携帯利用料金や機種本体代のローンの残りが債務整理になった場合は、解約になる可能性もあります。
選挙権が失われることはない
債務整理を行っても、選挙権が失われることはありません。
選挙権は、満18歳以上の日本国民であれば誰にでも認められる権利なので、債務整理を行ったからといって剥奪されるような権利ではないです。
債務整理を弁護士に依頼するとどんな費用が発生する?
債務整理を弁護士に依頼する場合、主に次の3つの費用が発生します。
弁護士事務所によっては、着手金を無料に設定しているところもあります。
項目 | 概要 |
---|---|
着手金 | 弁護士に支払う費用です。債務整理を依頼する際に発生します。成功したかどうかに関わらず必ず生じます。 |
報酬金 | 債務整理により借金の減額ができた場合に弁護士に支払う費用です。成功した場合にのみ発生します(「基本報酬金」として結果にかかわらず発生する場合もあります)。 |
減額報酬 | 借金を減額が成功したときに支払う費用です。借金の減額に対して数%〜数10%支払います。 |
任意整理の費用
内訳 | 費用相場(1債権者につき) |
---|---|
着手金 | 約2〜5万円 |
報酬金 | 約2〜5万円 |
任意整理の費用相場は約2〜5万円程度です。任意整理は裁判所を介さない手続きです。
その分弁護士の負担も減るため、債務整理の中では費用が少ない手続きだと言えます。
特定調停の費用
内訳 | 費用相場 |
---|---|
着手金 | 約2〜5万円 (1債権者につき) |
報酬金 | 約2〜5万円 (1債権者につき) |
減額報酬 | 減額した金額の5%前後 |
特定調停の費用相場は、2〜5万円程度です。
特定調停は個人で行えば費用を削減することも望めますが、労力の面から考えれば弁護士に依頼するのがおすすめです。
個人再生の費用
内訳 | 費用相場 |
---|---|
着手金・報酬金など | 約50万円程度 |
予納金 | 約20万円程度 |
個人再生の費用相場は、約50万円程度です。
個人再生には複雑な手続が必要となります。また手続き完了までの期間も長いため、費用はやや高くなっています。
自己破産の費用
内訳 | 費用相場 |
---|---|
着手金・報酬金など | 約30万円〜50万円程度 |
予納金 | 約3万円〜30万円程度 |
自己破産の費用相場は、約30〜50万円程度です。
自己破産も個人再生と同じように手続が大変であるため、費用相場は高めに設定されています。
債務整理にかかる費用が払えない場合はどうするべき?
債務整理を実施したくても、費用が用意できない人は少ないでしょう。
債務整理にかかる費用が払えない時の対処法としては、以下のようなものが考えられます。
- 法テラスを利用する
- 分割や後払いに対応できる弁護士事務所に依頼する
- 自分で債務整理をする
法テラスは、経済的な余裕がなく債務整理費用を捻出できない人等に向けた法トラブルの総合案内所です。
詳しくは後術しますが、法テラスに相談すれば、法制度や弁護士事務所に関する情報の無償提供を受けられます。
事務所によって方針は異なりますが、債務整理を検討する相談者の経済状況が考慮され、臨機応変に支払方法を変更してもらえるケースも少なくありません。
例えば、着手金を減額し、その分手続きが成功した場合に発生する報酬金を多めに払うといった具合で費用を後払いにしてもらえば、手続き前に慌ててお金を工面する必要はなくなります。
どうしても費用が用意できない場合には、自分で債務整理を実施するのも一つの手です。
債務整理を実施するのに特別な資格は必要ないため、自分で債権者や裁判所とやりとりしながら手続きを進めることも可能です。
書類不備があれば再提出を求められ、結果にもマイナスに作用する恐れがあるため、できるだけ弁護士や司法書士に依頼するのがおすすめです。
債務整理の手順を解説!
実際に債務整理はどのような手順で行うのでしょうか。ここでは債務整理の手順について解説します。
一般的な債務整理の流れは、次のとおりです。
- 弁護士に相談
- 依頼準備
- 着手金の支払い
- 取引履歴の開示
- 借金の引き直し計算
1弁護士に相談
借金返済の第一歩は、弁護士への相談です。
弁護士に相談することで、借金問題の全容が把握でき適切なアプローチを提案してもらえます。
債務整理には4つの種類があり、状況によって適したものを選択しなければ意味がありません。
「自己破産をした方がいいのか任意整理をした方がいいのか」「持ち家がある場合はどちらを選べばいいのか」など、弁護士は親身になって話を聞いてくれます。
- 市役所での法律相談会
- 法テラスなど公的機関
- 初回相談無料の法律事務所(弁護士の事務所)
2弁護士への依頼準備
債務整理には法律が大きく関係します。
そのため必要な手続きはもちろん、揃えなければいけない書類の量もかなり多いです。具体的には、次のような書類を準備しなければいけません。
- 身分証明書
- 債権者の一覧表
- 借入時の契約書、借入明細書
- 金融業者からの請求書や最初書
- 通帳
- クレジットカード
- 印鑑
- 家計の収支表、家計簿
- 勤務先の退職金見込み額
- 不動産登記簿謄本
3着手金の支払い
着手金は弁護士に仕事を依頼する際の契約金のようなものです。そのため依頼が確定したらすぐに支払わなければいけません。
法律事務所によっては、着手金無料や分割払い対応など融通が効く場合があります。着手金が支払えない場合は、着手金無料の弁護士事務所に依頼すると良いでしょう。
4受任通知の送付
着手金の支払い後、弁護士から受任通知(弁護士が依頼を受けたことを伝える書面)が債権者(お金を貸した側)へ送られます。
それ以降、債権者との連絡を行うのは弁護士です。また、受任通知送付から手続きが完了するまで、月々の返済は原則的にストップします。
受任通知が届いた時点から、債権者は債務者に直接連絡してはいけません。そのため、債権者から催促などの直接連絡は基本的になくなります。
5取引履歴の開示
受任通知の送付とともに取引履歴の開示を債権者に請求します。
取引履歴の開示が行われる理由は、過去の取引履歴をもとに、正しい返済情報から返済計画をつくるためです。
6引き直し計算
引き直し計算は債務整理全般に共通する手続きの1つです。元本充当計算や利息計算と呼ばれることもあります。
引き直し計算によって法的に正しい金利を導き出します。債務整理の方法を決める上で重要な手続きだといえるでしょう。
7債務整理の方法を選択
すべての準備が整うといよいよ債務整理の方法を選択します。
もちろん弁護士が適切なアドバイスをくれるため、それに従って自分に合った方法を選択するだけです。
債務整理にかかる期間は?
債務整理はそれぞれ手続きが終わるまでと、返済が完了するまでどれくらいの期間が必要なのでしょうか。
下記に一覧でまとめました。
おおよその 手続き期間 | おおよその 返済期間 | |
---|---|---|
任意整理 | 3~6ヶ月 | 3~5年 |
個人再生 | 3~4ヵ月 | 3~5年 |
自己破産 | 1年~1年半 | 3~5年 |
特定調停 | 6ヶ月~1年 | なし |
債務整理を専門家に依頼するメリット
ここからは具体的に、債務整理を弁護士に任せるメリットを紹介します。弁護士に相談するメリットは、主に次の5つです。
- 状況にあった債務整理方法を提案してもらえる
- 債権者からの催促や取り立ての連絡が止まる
- 手続きにかかる手間を軽減できる
- 債務整理を家族に知られにくくなる
- 借金を減額できる可能性がある
弁護士と司法書士に債務整理を依頼するのは何が違う?
債務整理を司法書士に依頼するのも費用を抑える意味では効果的ですが、司法書士は弁護士とは業務範囲が異なり、担当できない業務がいくつか存在します。
司法書士に課された業務制限は、以下の通りです。
- 訴額が140万円を超えた案件の任意整理の代理人になれない
- 簡易裁判所以外では訴訟代理ができない
- 自己破産・個人再生の代理人になれない
法務大臣の認可を受けた認可司法書士であれば、任意整理や過払い金請求の代理人なることができます。
訴額は訴訟の目的物の金銭的な価値を指し、借金裁判の場合は借入額(元本)が訴額にあたります。
個人再生や自己破産を実施する場合は、訴額に関係なく代理人になることはできず、提出書類の作成代行しか実施できません。
裁判所での立ち振る舞いなどに関するアドバイスが受けられ、様々な場面でサポートしてもらえるものの、債務者の代理人として出廷し発言できる弁護士に依頼するのが無難です。
出典:杉山事務所
債務整理に関するよくある質問
また、債務整理前提で借金した場合には、詐欺破産罪に問われる可能性も考えらるため、弁護士に相談し債務整理を実施するべきか判断を仰ぐのが無難です。
ただし、本来であれば弁護士が債務整理に着手した時点で発送される受任通知が債権者に届いた時点で催促が止みますが、悪質な闇金が債権者であれば、催促が止まるのに時間を要するケースも想定されます。
もっとも、免責不許可事由があっても手続きに至った事情が考慮され、裁判所の裁量で免責が決定する「裁量免責」によって借金支払義務が免除される可能性も考えらえます。裁量免責を得るには、裁判所にいかに良い印象を与えるかが重要になります。
また、個人再生特有の制度である「住宅ローン特則」を利用することで、住宅ローンの返済を継続する条件で住宅ローン手続き対象から外すことも可能です。
そのため、価値の高い財産を保有した状態で自己破産すると、大切な財産の大半を失う懸念があるのです。
また、順当に行けば換価処分の対象となる財産でも、破産者の生活に必要不可欠な財産であると裁判所に判断されれば「自由財産の拡張」が認められ、手元に残しておけるケースもあります。
まとめ|債務整理とは、個人の借金問題を解決する制度!
債務整理は、個人の借金問題を解決する制度です。債務状況に応じて、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つから自分に合ったものを選択します。
任意整理 | 利息部分を減額 |
---|---|
特定調停 | 裁判所を仲介して債権者と和解交渉 |
個人再生 | 借金最大1/10減額 |
自己破産 | 免責許可で借金を0にする |
債務整理の手続きを一個人がすべて行うのはかなりハードルが高いです。借金問題を抱えている方は、いち早く弁護士に相談することが問題解決への近道となるでしょう。
\借金がなかなか減らない…とお悩みなら/
執筆者情報 モアマニ編集部 |
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債務整理担当ライター・編集者Rさん
借金が膨れ上がってしまうことで心の余裕がなくなってしまうのは、珍しいことではありません。そんな借金で困っている方向けに、誰にでも分かりやすく情報をまとめることを意識して、日々記事の執筆・編集を行っています。
債務整理の記事はこちら
・本記事の内容は、本記事内で紹介されている商品・サービス等を提供する企業等の意見を代表するものではありません。
・本記事の内容は、本記事内で紹介されている商品・サービス等の仕様等について何らかの保証をするものではありません。本記事で紹介しております商品・サービスの詳細につきましては、商品・サービスを提供している企業等へご確認くださいますようお願い申し上げます。
・本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービスの内容が変更されている場合がございます。
・本記事内で紹介されている意見は個人的なものであり、記事の作成者その他の企業等の意見を代表するものではありません。
・本記事内で紹介されている意見は、意見を提供された方の使用当時のものであり、その内容および商品・サービスの仕様等についていかなる保証をするものでもありません。