自己破産するとどうなる?デメリットや家族への影響を解説
借金が膨れ上がってしまった時の対処法の1つとしてある「自己破産」。最高裁判所事務総局の令和4年度の司法統計によると、自己破産の件数は64,833件にものぼっています。※1
そんな自己破産ですが、「自己破産するとどうなる?」「具体的に自己破産後の生活はどうなるのか気になる」「自己破産をしたら、全財産を失ってしまうのではないか……」「自己破産後にできなくなること・できることが知りたい」と不安な人も多いはずです。
実際の自己破産後の人生や、家族・会社への影響が気になっている人もいるでしょう。
この記事では、自己破産するとどうなるのかを、具体的に解説。
何ができなくなるのか・できるのか、自己破産後の生活、家族・会社への影響などに分けて詳しく紹介していきます。
✏️この記事のまとめ |
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涌井好文
就職氷河期の中、自身が非正規雇用を経験。それが労働者の雇用環境に興味をもつきっかけとなり、社会保険労務士の資格を取得。社会保険労務士として開業登録を行ってからは、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活躍する。近年では活動の幅をウェブまで広げ、クラウドソーシングサイトやSNSを主軸に、記事の執筆や監修を行う。
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目次
自己破産するとどうなる?
端的に言えば、自己破産すると「自己破産」をすると借金がゼロになります。裁判所に申し立てを行って免責許可がおりれば、いままでの借金が免除されるのです。
免責許可決定には法的拘束力があるため、お金を借りている人から催促がこなくなるのも、自己破産をする大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、自己破産は誰でも借金をゼロに出来るわけではありません。
そのため、借金400万円・月の手取り100万円で月々15万円返済しているような場合、返済可能と判断され、自己破産は否認されてしまうでしょう。
また、以下の場合は免責不許可の事由に該当することがあります。
- 非常に大きい額の浪費/ギャンブル
- 財産を隠していた
- 特定の借金貸し業者にのみ返済していた
- 7年以内に自己破産をしている
もし当てはまることがあれば、注意しましょう。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは、以下のとおりです。
- 催促が止まる
- 借金の支払い義務がなくなる
- 強制執行がなくなる
- 最低限の財産は残せる
- 家族の信用情報に影響はない
- 申請は誰でも可能
催促が止まる
自己破産の手続きを依頼すると、弁護士や司法書士から賃金業者に対して「受任通知」が送付されます。この受任通知とは、弁護士・司法書士が依頼者の代理人となったことを相手に知らせる通知のことです。
生活を脅かすような行為も禁止されており、違反した場合は罰金や業務停止などの罰則が科されるのです。
催促が止まることで、安心して過ごせるようになるのは大きなメリットでしょう。
借金の支払い義務がなくなる
自己破産の手続きをすれば、原則として借金の支払い義務がなくなるのは最大のメリットでしょう。法的に、現在抱えている借金がゼロになるのです。
自己破産は公平でなければならないため、賃金業者からの借金だけでなく、友人や知人からの借金も同じく債務として取り扱います。ですので、友達に借りているお金も返済の必要がなくなります。
それ以外にも、奨学金などの支払い義務も免除されます。
強制執行がなくなる
自己破産をすると、強制執行がなくなるのもメリットの1つでしょう。
裁判所が債務者に対して強制的に債務の履行をさせる制度。
債権者が裁判所に債権執行の訴えを出し認められると、債務者に対して強制執行が始まります。
これにより財産差し押さえや給与の差し押さえが行われます。給与が差し押さえられた場合は、勤務先にも通知されることになるので、会社にもバレてしまうでしょう。
しかし自己破産をすれば、強制執行はないので会社にバレることも防げます。
また、すでに給与の差し押さえ中であっても、自己破産を開始した場合、強制執行の効力は失われるので給与は全額受け取れるようになります。
最低限の財産は残せる
自己破産をすると、お金も財産も失い無一文になってしまうと勘違いしている方もいますが、それは誤解です。
すべての財産を失うわけではありません。自己破産をした場合でも、「自由財産」は処分しなくていい(自由に処分できる)と定められているのです。
- 新得財産
- 差し押さえ禁止財産
- 99万円以下の現金
- 自由財産拡張によって裁判所に保有が認められた財産
- 破産管財人が破産財団から放棄した財産
「新得財産」とは、破産開始決定以降に得た財産のことです。「差し押さえ禁止財産」は、差し押さえの対象外の財産で、「差押禁止動産」と「差押禁止債権」の2種類があります。差押禁止動産は生活に必要な家具・建具・衣服・寝具や、1ヶ月分の食料、仕事で必要な器具などが当てはまります。
差押禁止債権は、給料の4分の3・退職金債権の4分の3・個別法で守られている債権などが該当。また99万円以下の現金も自由財産の1つとして認められています。
自己破産には、「同時廃止」と「管財事件」の2つのケースがあります。処分すべき財産がない場合の自己破産は「同時廃止」として扱われることが多く、一方で「管財事件」では破産管財人が財産を処分するのです。ただし、管財人が放棄した財産は自由財産となり、残すことができます。
このように、自己破産をしても最低限の財産は残せ、生活を守ることができるのがメリットでしょう。
家族の信用情報に影響はない
自己破産の手続きをしても、家族の信用情報に影響はありません。自己破産はあくまで個人の手続きだからです。たとえば、家族がクレジットカードを新たに作成したり、ローンを組んだりすることは可能です。
ただし、家族が借金の保証人や連帯保証人である場合は、家族には返済の責任が生じます。また自己破産をすると、クレジットカードの利用はできなくなりますが、債務者の本人名義で作った家族カードも使用できなくなります。
保証人になっていなければ、家族の信用情報には何の影響もありません。これが自己破産の大きなメリットの1つです。
申請は誰でも可能
自己破産の申請は、誰でもできるというのはメリットの一つです。自己破産の対象者は、以下のとおりです。
- 債務の支払いが不能状態であること
- 債務が免責不許可事由に該当しないこと
- 債務が非免責債権でないこと
支払い不能とは、借金の返済が継続的にできないことが明確な状態であり、収入や財産もない状態を指します。
また自己破産の手続きをするためには、裁判所から免責許可の決定が必要であり、一定の事由がある場合は、免責を受けることができません。
そのほか、各種税金や、社会保険料、刑罰による罰金や損害補償金などは「非免責債権」と呼ばれ、自己破産の対象にはなりません。
これらの条件をクリアすれば、誰でも自己破産が可能で、借金の負担額に制限がないのもメリットです。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットは、以下のとおりです。
- 保証人に迷惑がかかる
- 自動車が処分される可能性がある
- 官報に掲載される
- 免責不許可になる場合がある
- 弁護士や司法書士への支払い費用がかかる
保証人に迷惑がかかる
自己破産をするデメリットの一つとして、保証人や連帯保証人に迷惑がかかることがあります。本人の借金の支払い義務は免れますが、保証人や連帯保証人は責任を免れません。
「保証人」は、契約者本人が返済できなくなった場合に、その代わりに返済する必要があるため当然でしょう。自己破産手続き後、保証人や連帯保証人には借金の一括請求が行われます。
そのため、自己破産の手続きを検討している場合は、必ず事前に保証人に確認することが重要です。
自動車が処分される可能性がある
自己破産をすることで自動車が処分される可能性もあります。自動車のローンが残っていない場合、自動車の価値が20万円より高いと、原則処分の対象となります。もし20万円未満の価値しかない場合は、処分の対象外のため、所有し続けることが可能です。
ただし自動車ローンが残っている場合は、車を引き上げられる可能性は高いでしょう。一般的にローンが完済するまでは、自動車の所有者はローン会社にあります。これを「所有権留保」と言います。
なお所有権留保がついているかは、普通車であれば車検証に記載されています。軽自動車の場合は、契約書を確認するとよいでしょう。
官報に掲載される
自己破産をすると、氏名や住所が官報に掲載されるのもデメリットの1つです。官報は内閣府が発行している国の機関紙で、政府や各府省が国民に知らせるための公文や、企業の決算報告などが掲載されています。
自己破産すると、この官報に個人情報が載るため、もしも同僚や知人が官報を読んでいたら、自己破産の事実が知られてしまう可能性があります。
各都道府県の県庁所在地に1〜2ヶ所しか販売していないので、通常の生活で官報を読むことがない限りは、同僚や友達にバレる可能性は低いでしょう。
免責不許可になる場合がある
前述したように、自己破産の手続きをしても、裁判所が免責を認めない場合「免責不許可」となり、借金の返済義務は免除されません。免責不許可事由は、以下のとおりです。
- ギャンブル・FXなどの投機・投資による借金
- 浪費による借金
- 不当な債務
- 裁判所からの質問に虚偽の回答をする
- 過去7年以内に免責を受けたことがある
- 特定の債権者にのみ返済をする
- 財産隠しや不当に財産を減少させる
上記は一例ですが、これらに当てはまった場合、借金返済の責任は免除されません。自己破産をしても、免責不許可となれば、自己破産するメリットはないでしょう。
弁護士や司法書士への支払い費用がかかる
自己破産の手続きを弁護士や司法書士に依頼する場合、支払いの費用がかかるのはデメリットでしょう。法律事務所や法務事務所によって費用が異なりますが、一般的には弁護士の着手金が20万円〜、報酬金が20万円〜は最低でも必要です。
多くの人は、「自己破産の手続きをしようとしているのに、そんな大金払えるはずがない」と感じるでしょう。ただし法律事務所の中には、相談料無料としている事務所もありますし、弁護士費用に関しては分割支払いに応じているところも多いです。
また法テラスを利用することで、通常より安価に弁護士に依頼することもできます。
自己破産するとできないこと7つ
前述では、自己破産後でもこれまでとほぼ変わらない生活を送ることが可能と解説しましたが、一定のことは困難となります。
ここでは自己破産するとどうなるのか、できなくなってしまうことを紹介していきます。
- ローンが組めなくなる
- クレジットカードの利用ができない
- 金融商品を購入しづらくなる
自己破産手続き中に、資格制限に該当する職種に就くこと
20万円以上の価値がある財産の所持
- 持ち家に住み続ける
- 養育費の受け取り
1. ローンが組めなくなる
ブラックリストに登録されるので、住宅ローン・車のローン・カードローンといった、支払い全般のローンを組むことが出来なくなる可能性が考えられます。
身近なところでは、携帯端末の分割支払いもローンに該当します。
こんな状況の時に、違法であるヤミ金業者などから「お金を借りないか?」という営業の電話がかかってくることがあるかかもしれませんが、絶対に止めておくべきなので、無視しておきましょう。
ブラックリストに登録される期間は、約5〜10年程度とされています。その期間は、新しい借金が出来ないと考えましょう。
2. クレジットカードの利用が出来ない
自己破産後は、一定期間カードの利用および新規作成が出来なくなる可能性が考えられます。
信用情報機関に自己破産の記録が残されてしまうため、クレジットカードもカードローンと同様に、5年〜10年程度作れなくなることが考えられます。
キャッシュレス化が加速する現代において、カードが使えないことは大きなデメリットといえるでしょう。
3. 金融商品を購入しづらくなる
株や投資信託、国債など将来の資産を先々考えて購入したいと思っても、審査に通りづらくなることが予想できます。
金融商品の購入では、審査が行われるケースがほとんどです。金融機関は審査に際して、信用情報をチェックしています。
自己破産の履歴があると、契約できない商品も少なくないと考えられます。
4. 自己破産手続き中に、資格制限に該当する職種に就くこと
自己破産の手続き中は、資格制限が課され該当する職種に就くことができなくなります。
制限される資格の一部を紹介すると、以下のようなものが挙げられます。
- 弁護士
- 司法書士
- 宅地建物取引士
- 警備員
資格制限が解除されるのは、法律上の「復権」を迎えるまでです。復権のタイミングはいくつかありますが、多くの場合は免責許可決定を受けた時点で復権となり、資格制限が解除されることとなります。
自己破産は高確率で免責許可が得られると考えられています。
万が一免責不許可になった場合には、破産詐欺罪に問われ有罪判決を受けることなく10年経過するか、あるいは借金を完済した時点で復権となるのが一般的です。
5. 20万円以上の価値がある財産の所持
自己破産すると20万円より高い価値がある財産は、裁判所に選ばれた破産管財人によって処分されるのが原則です。
破産者は、借金が返済できないかわりに保有財産を債権者に分配する必要があるのです。
不動産や車等を手続き後も所持しておくのは困難であると言えます。
6. 持ち家に住み続ける
前述の通り、20万円より高い価値がある財産を所持するのは原則不可能であるため、持ち家に住み続けるのは困難だと言わざるを得ません。
住宅ローン返済中であれば、破産管財人にではなく、ローン会社に持ち家を引き上げられるのが通常です。
そのため、家族名義の持ち家はローンの返済状況にかかわらず処分されることはありません。
7. 養育費の受け取り
原則として、自己破産しても養育費を受け取る権利が剥奪されることはありません。
つまり、未領分の養育費は自己破産すると受け取れなくなる恐れがあるのです。
また、裁判所の運用によっては養育費の半分が差押え対象になるになる場合もあります。
ただしいずれの場合でも、破産者にとって養育費が必要不可欠な財産であると判断されれば、前述した「自由財産の拡張」が認められることで差押え対象から外れ、全額受け取れる可能性が考えられます。
※破産財団:破産手続きにおいて換価処分の対象となる財産
自己破産後でもできる14のこと
では自己破産をすると、その後の収入・人生・生活についてどうなるのか気になりますよね。ここでは自己破産するとどうなるのか、今後できることに焦点を当てて紹介します。
結論からいうと、一定以上の価値があるなどと判断された財産は処分の対象になりますが、その後はほぼ通常の生活に戻ることが出来ます。
1. 貯金をする
自己破産手続き後に借金の返済義務がなくなっているので、それ以降に新たな金融資産を手にしても基本的に自分の手元に残ります。
これまで以上に稼ぎ、よりよい生活にしたいのであればダブルワークで給料をいくら稼いでいたとしても、貯蓄に充当することが出来ます。
2. 99万円以下の現金や生活必需品の所持
破産管財人による財産の換価処分が実施される自己破産ですが、全ての財産が失われるわけではありません。
日本憲法第25条に定められる生存権に基づき、「破産者含む全国民の最低限の生活を維持するべき」といった考えのもと、破産法では自己破産後も所持が認められる「自由財産」が規定されています。
自由財産に当てはまる財産としては、以下のようなものが挙げられます。
- 破産手続き開始決定後に獲得した財産
- 差押禁止財産
- 自由財産の拡張が認められる財産
民事執行法により換価処分を禁止されている財産が、差押禁止財産にあたります。
裁判所で、免責許可決定が下された後に得た金銭財産は、基本的に処分の対象になりません。
また、裁判所の判断によっては、処分対象となる財産を自由財産に組み入れることが可能になる「自由財産の拡張」が認められるケースもあります。
例えば、家庭の事情でどうしても就職ができず、自己破産後に生活費が不足する恐れがある場合には、99万円を超える現金が自由財産として認められる可能性が考えられます。
3. 仕事を続ける
自己破産手続き中でも、自己破産後でも仕事自体は原則的にこれまでどおり出来るのです。
むしろ債権者(借金取りなど)からの取立てがなくなるので、これまでより働きやすくなる可能性があります。
公務員は自己破産後でも続けられる
公務員は、自己破産が原因で職を失うことは原則的にありません。
国家公務員法や地方公務員法に欠格時効が定められていますが、その中に自己破産が欠格の要因になる旨は記載されていないためです。
したがって、これらの資格を用いて仕事をしている人が自己破産すれば、手続き中の休職あるいは退職を余儀なくされる懸念があります。
転職をすることもできる
自己破産すると破産者の情報が官報に掲載されますが、大半の企業は官報を事細かにチェックしません。
したがって、企業に自己破産した事実を知られるリスクは低いと言えます。
そもそも、自己破産したことで転職活動に法的な制限が課せられることもないので、転職に悪影響が及ぶことを過度に心配する必要はないと言えます。
ただし、公務員に転職する場合は、自己破産した過去がマイナスに作用する可能性も否定できません。公務員は、職業柄官報を閲覧している場合があります。
もっとも、自己破産と警察官の採用基準に明確な関連性があるわけではないので、あくまでも可能性として認識しておきましょう。
4. 起業をする・個人事業をする
自己破産後の企業や、個人事業を制限する法律は存在しません。そのため、自己破産後に起業するのも個人事業を立ち上げるのも自由です。
しかし、自己破産が企業や個人事業の立ち上げを阻害する要因になる側面があることも事実です。
自己破産した事実は、信用情報機関に事故情報として登録され、それにより10年間ほど金融機関からの融資が受けられなくなるため、事業資金の調達が困難になると予想されます。
5. 年金を受け取る
自己破産をしても年金を受け取ることは可能ですが、厳密には公的年金か私的年金かによって扱いは異なります。
公的年金は、20歳以上60歳未満の全ての日本国民が加入する国民年金と、主に企業に雇用される人が加入する更生年金の2種類があります。
受給資格が剥奪されることも、受給額が減額されることも決してありません。
一方、企業年金と個人年金が含まれる私的年金に関しては、扱いが異なります。
企業年金は公的年金と同じように差押えが禁止されているため、通常通り受け取り可能です。
しかし、自由財産に含まれない自身で加入した個人年金は差し押さえられる可能性があります。自由財産ではない以上、年金と言えどその他の個人的に保有する財産と同様の括りです。
したがって、個人年金の解約返戻金が20万円を超える場合は強制解約となり、20万円を超過する分の金額が差し押さえられる場合があります。
6. 結婚をする
自己破産しても結婚は可能です。結婚相手や将来生まれる可能性がある子供に直接的な影響が及ぶこともありません。しかし、結婚生活におけるマイナスの影響が全くないとは言い切れない部分もあります。
事故情報が登録されている期間は、クレジットカードが使えなくなり、さらに、新規の借り入れやローンの審査に通るのも困難になるため、少なからず生活の中で不自由を感じる場面もあるでしょう。
結婚相手の名義でクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりすることはできますが、支払能力が不十分であれば審査に通らないケースもあります。
このように、自己破産後一定期間は、信用力を必要とする取引において結婚相手の支払能力に依存せざるを得ない状況が発生します。
そういった意味では、自己破産は結婚生活における選択肢を狭める遠因になり得るのです。
7. 養育費の支払い
自己破産後も、養育費の支払いは継続可能です。
養育費は子供が十分な教育を受けるための必要最低限の投資であり、養育費を負担するのは親の義務であると考えられているのです。
仮に、配偶者と離婚しおり養育費を滞納している場合には、元配偶者の申立てによって裁判上の手続きに基づき財産を差し押さえられる恐れがあるため注意が必要です。
8. 国内・海外旅行や出張をする
自己破産後、事故情報が登録されている期間でも国内・海外旅行や出張が可能です。
ただし、居住地制限が課される破産手続き※中は、裁判所の許可なしに2泊以上の旅行や外出ができなくなります。
居住地制限に抵触すれば、破産手続きの進行を阻害したとして免責不許可事由※と判断されるリスクがあることを留意しておきましょう。
破産手続きが終了するか、破産手続きを伴わない管財事件が実施される場合には、居住地制限が課されることはありません。
※破産手続き:破産管財人が破産者の財産を現金化し債権者に分配する手続き
※免責不許可事由:免責許可が得られなくなる事由
9. 選挙で投票をする
自己破産を機に選挙権または被選挙権が失われることはありません。選挙権は法律で認められた権利です。
したがって、犯罪を犯し禁固刑以上の刑を科されること等が無ければ、選挙で投票をするのは可能です。
10. 退職金を受け取る
自己破産後に退職金を受け取ることは可能ですが、場合によっては退職金の一部が差し押さえられる可能性があります。
自己破産申立て時には退職金の見込み額を申告しなくてはならず、破産手続き開始決定時点で退職金を受け取っていなくても、見込み額の8分の1の金額は差し押えられるのが一般的です。
もっとも、裁判所によって運用は異なり、東京地方裁判所では退職金の見込み額の8分の1が20万円に満たない場合には、差し押さえを実施しない方針をとっています。
なお、年金と同様の形式で支給された確定拠出年金等の退職金は、差押禁止財産に該当することから差押え対象にはなりません。
出典:名古屋駅前の弁護士
11. 引っ越しをする・賃貸物件を借りる
破産手続き中は居住地制限が課せられ自由に居住地を変更できませんが、自己破産後であれば、引っ越しや新たに賃貸物件を契約することが可能です。
ただし前述した通り、自己破産すると信用情報に事故情報が登録されることで破産者名義での住宅ローン契約が原則不可能になります。
賃貸契約に関しては、大家よる審査が行われる賃貸物件を契約・更新する分には、家賃を継続的に支払う支払能力さえあれば特段問題はありません。
しかし、賃貸保証会社による審査が行われる賃貸物件を契約しようとしても、賃貸保証会社が信用情報機関に加盟しており申込者の信用情報を参照する可能性があるため、審査に落ちてしまう恐れがあります。
同様の理由で、既に賃貸物件を契約している場合も更新審査に通らない可能性が高いです。
とはいえ、更新審査に通らない場合でも基本的に退去を命じられることはなく、保証会社の変更あるいは連帯保証人を立てることで賃貸契約を継続できるケースが大半です。
12. 保険に加入する
自己破産後でも問題なく保険に加入できます。既に生命保険や健康保険に加入している場合にも、継続的に利用できるのが一般的です。
ただし積立型の生命保険に関しては、解約返戻金見込額の合計金額が20万円を超える場合には自己破産を機に強制解約になる可能性があります。
13. 生活保護の申請をする
生活保護は、経済的に困窮している人を支え自立に導くことを主眼に置いています。
そのため、自己破産後であっても生活保護の申請は可能ですし、受給要件が厳しくなることもありません。
14. 2回目の自己破産をする
自己破産に回数制限はないため、2回目の自己破産も可能です。ただし、免責許可が確定してから7年以内に再度自己破産すれば免責不許可事由とみなされ、免責許可は得られません。
例えば、1度目の自己破産と同様の理由で再度自己破産を申し立てた場合には、反省の色が見られないと判断され借金支払義務が免除されない恐れがあります。
自己破産すると家族や会社にバレる?
自己破産しているのが、家族や会社と言った周りにばれてしまったら「あの人とは関わらない方が良い……」「あんなまじめに見えて自己破産してたんだ……」などといった風評被害も起こりかねません。
自己破産をすると、免責許可決定などの書類が郵送されます。
その際には「裁判所→法律事務所→本人」という流れが原則です。突然自宅や会社に、自己破産が通知されることはありません。
しかし妻や夫がいる場合は、自己破産の手続時に配偶者の収入を証明する書類が必要です。そのため、配偶者には隠すことは出来ないと思ってください。
自己破産すると家族に影響はある?
自己破産すると家族に迷惑をかけるのでは…と思うかもしれませんが、自己破産によって仕事をクビになったり、すべての財産を失ったりすることはありません。
[warning text=”ただし、住宅が持ち家の場合やマイカーを所持している方は、自己破産すると没収される可能性があります。持ち家を没収されてしまうと、家族で引っ越さねばならないので注意しましょう!”]なお、持ち家やマイカーが破産者本人の名義でなければ、いままで通り使えるので安心してください。
自己破産すると年金はどうなる?
年金も財産の一部と考えられますが、自己破産においては年金の種類によって受給の有無が異なります。はじめに結論を述べると、個人年金だけは、自己破産をすると受給できなくなる可能性があります。
年金の種類は、大きく分けて以下の4種類です。
- 公的年金(国民年金・厚生年金・障害年金・遺族年金など)
- 企業年金(確定給付型企業年金・確定拠出型企業年金)
- 公務員共済
- 個人年金
自営業者や無職の方が加入する国民年金や、会社員の方が加入する厚生年金など、公的年金は生活に不可欠なため、「差し押さえ禁止財産」に分類されます。そのため、自己破産の手続きを行った場合でも、受給は可能です。
また身体障害や精神障害のある方が受給できる障害年金も、同様に生活に必要なので、そのまま受給できます。
そのほか公務員の方が加入している公務員共済も、同様に差し押さえ禁止財産であり、自己破産をしても受給が可能です。
個人年金のみが差し押さえの対象となり、返戻金が20万円以上になると強制解約され、債権者へ配当されます。
個人年金や生命保険の解約返戻金の合計額が20万円以下の場合は、引き続き加入が可能な場合もあります。
自己破産は弁護士や司法書士に依頼するのがおすすめ
借金問題に少しでも悩んでいるのであれば、まず弁護士や司法書士に相談することが大切です。
1人で悶々と悩むよりも、一度弁護士へ相談したら新たな人生を歩むことが出来たという声も多数あります。
いきなり自己破産する前に、まずは話を聞いてもらうことからはじめましょう。
当サイトがおすすめしているはたの法務事務所では、無料で相談できます。また、手持ちの費用がなくても依頼できたり、分割払いができたりと、依頼費用が支払えるか不安な方にもおすすめです。
自己破産後に関するよくある質問
借金問題でお悩みの方は、弁護士や司法書士などの専門家へ相談してみましょう。中でもはたの法務事務所は相談先としておすすめです。
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自己破産しても財産の全てを失うことはありません。20万円より高い価値を持つ財産を残しておくことは原則的に不可能ですが、家具や衣服等の生活必需品が処分されることはないのです。
また、裁判所の判断で破産者にとって必要不可欠であると認めらえた財産については、本来は処分対象であっても維持できる可能性があります。
自己破産が原因で会社を解雇されることはありません。自己破産を理由に従業員を解雇するのは不当解雇です。
また、破産者の情報は官報に掲載されるものの、大多数の人は官報をチェックしていないため会社に自己破産したことを知られるリスクは高くありません。
ただし、自己破産中は資格制限が課され弁護士や司法書士、警備員等特定の資格を用いた仕事ができなくなります。
したがって、当該資格を使用している人が自己破産した場合には、手続き中の休職、あるいは退職の必要が生じます。
自己破産によって法律的に結婚が制限されることはありません。しかし、自己破産すると約10年間はクレジットカードの発行やローン契約が困難になるため、結婚生活に何らかの悪影響を与える可能性が無いとは言い切れません。
また、人によっては自己破産をマイナスに捉える可能性も考えられるので、結婚を真剣に考える相手には自己破産した事実を打ち明けておいたほうが良いかもしれません。
自己破産後に引っ越しすることは可能です。ただし、一定期間は本人名義で住宅ローンを組めなくなることから、新居選びに弊害が生じる可能性が考えられます。
また、新たに賃貸契約をするにしても、信用情報を参照できる賃貸保証会社が審査を担当する物件に関しては、契約を断られる恐れがあります。
連帯保証人を立てる場合や、大家が入居審査を行う場合には信用情報が審査に悪影響を及ぼすことはありません。支払能力さえあれば賃貸契約が可能です。
ローンの支払状況にかかわらず、持ち家からの退去を余儀なくされるケースが多いのが現実です。自己破産では、原則的に20万円を超える価値がある財産は処分対象になることが理由です。
ローン返済中の場合は、裁判上の手続きによって処分されるのではなく、ローン会社によって持ち家を引き上げられることとなります。
自己破産の回数制限はないので、2回目の自己破産は可能です。ただし、免責許可確定日から7年経過せずに自己破産を実施しても、免責許可は得られないのが原則です。
また、2回目以降の自己破産では、より厳しく免責許可を出すべきか調査されることとなります。一度目と同じ理由で自己破産に至った場合には、経済的再生の見込みが薄いといった理由から免責許可を得られない恐れがあります。
自己破産後の起業を制限する法律は存在しません。
いつでも起業することは可能ですが、自己破産すると、信用情報に事故情報が登録され10年間ほど金融機関からの新規の借り入れが困難になるため、事業資金の調達にて苦戦を強いられる懸念があります。
自身で事業資金を用意できる場合には、特段問題はありません。
自己破産の免責許可を得ても養育費が免除されることはありません。養育費は破産法で定めらた、自己破産して免責されず継続的な支払いが求められる非免責債権に該当するからです。
養育費とは、子供が必要最低限の教育を受け健全に成長するために必要な費用であり、養育費を負担するのは親の務めであると考えられています。
まとめ|自己破産を検討しているなら弁護士の無料相談へ
本記事では、自己破産するとどうなるかを徹底解説してきました。借金が返すことが出来ないからといって安易に自己破産の申立てをしてしまうと、一定期間ローンを組めなくなったり、職業制限がかかったりします。
その一方で、「返さなくてはいけないお金が0円になる」「お金に関するストレスがなくなる」など、ポジティブな面があるのも事実です。
これからの生活や将来のことで、ちょっとでも悩んだら弁護士に相談だけでもしてみましょう。話を聞いてもらうだけでも事態は好転するかもしれませんね。
執筆者情報 モアマニ編集部 |
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債務整理担当ライター・編集者Rさん
借金が膨れ上がってしまうことで心の余裕がなくなってしまうのは、珍しいことではありません。そんな借金で困っている方向けに、誰にでも分かりやすく情報をまとめることを意識して、日々記事の執筆・編集を行っています。
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